2012年12月17日

西サハラへ




マラケシュからはバスで西サハラのダフラへ向かう。
一日一本大型バスが出ている。
所要時間は約24時間で、運賃は450DHS4500円ほど)。

24時間のバス旅、と聞いても最近は何とも思わなくなった。
今回は最前席だったので窓からの景色は最高だったなあ。

バスは出発後1時間で休憩。「え、もう?」って思ったら、礼拝のための休憩でした。
バスを降りるなり休憩所の礼拝室に向かう人々。

深夜0時頃、モロッコと西サハラの境界線付近にくると何度も検閲所を通る。
モロッコ警察がバス車内に来て、私のパスポートのみをチェック。
警察 “What is your job?”
私 ”Student”
警察 “Journalist?”
私 “No no, S T U D E N T!!”
こんなやり取りをその後の検閲所でもした。
西サハラはジャーナリスト入国禁止。
そのためモロッコ側や西サハラ側の警察は外国人訪問者に敏感である。

西サハラは、現在モロッコが実行支配する旧スペイン領。
76年にスペインが領有権を放棄し、今はモロッコがほぼ全域を支配。
西サハラはサハラ−アラブ民主共和国としての独立を主張し続けている。

かつてスペインのジャーナリストがここ西サハラの報道をしてから、
モロッコは再び西サハラがスペイン領になるのを恐れ、ジャーナリストやあらゆる報道機関の立ち入りを禁止するようになった。

夜のサハラをバスが進む。
真っ暗で何も見えない。
途中の休憩所から見た星空があまりに綺麗で未だに目に焼き付いている。

2時頃、真っ暗な道をバスが走行中、おかしな野郎がいた。
前方を走る車のドライバー、酔っぱらっていたのか、単なるキチガイなのか、他の車を前に通させようとしない。
片側一車線の道路を右に左に走り、軽自動車も大型バスでさえもこの車を追い越せない。

たまに前方のドライバーが窓から顔を除かせ、抜かせるもんなら抜かしてみろ、と煽ってくる。

バスのドライバーは怒り狂っていた。 
何度もクラクションを鳴らし、抜かせろ、と叫んでいた。
乗客もみなブーイング。一方そのドライバーは、近づくとタバコやペットボトルなどのゴミを投げつけてきては左右に運転し嫌がらせを続ける。

私たちのバスの後ろには既に車の列があった。
30分以上それを続け、ようやくそのドライバーは右側によけ私たちのバスが追い越した。

すると今度は別の車が後ろから追い抜いてきて、同じことをしてくる。30分後くらいにようやくその車もよけてくれ、バスは通常通り走り出した。
あいつらは一体なんだったのか。腹が立つやつらだ。

隣の女の子に「あいつら何なの?」と聞くと、笑って”Welcome to Africa”と言われた。
よくわからんが、そういうことらしい。

とまあ、こんな風に書いているけど、この時最前席にいた私の心臓はバクバクだったわ。
ゴミがフロントガラスにぶつかってくるし、周りの人が何話してんのか全くわからんし。次は何がぶっ飛んでくるんだと思うと怖くて仕方なかった。夜中の移動はこれだから嫌だ。

朝焼けの砂漠。
何もない。道が一本、砂漠の中にあるだけ。

右手を見れば青い海原、目の前には水気もない大地。
たまにラクダが草をむしって歩いているのをみると、何か色々どうでもよくなってくるんだよね。
もうここでラクダと一生暮らしてもいいんじゃないかとさえ思ってしまったりする。
日本ではあり得ないくらいにスローペースで時間が過ぎて行く。


綺麗な夜景を見ても涙は出ないけれど、何もない砂漠で地平線の先の空を眺めていると、感動のあまり涙が出てくる。
人間が手を加えていない景色の持つパワーは街中のそれと大きく異なる。
ただ見ているだけの自分がもどかしい。うーんなんだろう、この大地を抱きしめたくなる感じなのかなあ。
感動してもしきれないし、この大地にその感動を伝えてやりたいとさえ思う。

14時頃、予定より1時間早くダフラに到着。
このときの気温は33度・・。

続く。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いいなぁ、いってみたいなぁ!モロッコはノービザだから、西サハラもノービザなんだよね?KUMA-san

miyu さんのコメント...

西サハラもノービザですよ。スタンプも押されません。国境付近でやたら質問攻めにはされますが・・。