2012年9月16日

山の上のShirnak


ホストのMedyaShirnakを歩く。
同じトルコでも、今までの街とは全然違う。
Diyarbakirも他の場所と違って良かったが、ここはまたひと味違う。まず子供がとにかく多い。この辺では一夫多妻制を採用する家庭も多く、24人の奥さんと子供30人を抱える家族も。

当然、お父さんは子供の名前を全て覚えきれないので彼らの服装で自分の子供かどうか判断するそう。
トルコ政府はトルコ人にもっと子供を産め、と言っているのだそう。でないとトルコの人口の大多数をクルド人が占めることになってしまうから。


観光客が来るような場所でもないため、外国人を初めて見るという人も多い。
動物園のゾウかキリンにでもなった気分だ。歩いていても、車の中にいても、レストランで座っていても、通りすがる人に二度見三度見される。

じろじろと見てきては「チーニー!(中国人!)」と叫ぶ子供が(笑)。
「ジャポーニ」と訂正すると何故か決まって「ジャッキーチェン!」と言われる。いや、だから違うって・・笑


民家の中を歩いていると子供がぞろぞろとついて来た。
「日本人がいる」という噂はすぐ広まる。私を一目見ようと家から出て来る人や、窓から顔を覗かせる人も。
そしてどの家庭も「お茶飲んでって」と誘ってくれる。一体何軒の家でお茶(クルドティー)をいただいたか・・。

ぼろぼろの服装に穴の開いた靴を履いていても、彼らはとても幸せそうだ。笑顔で私を楽しませてくれる。お腹の痛みなど忘れてしまうくらい。


子供たちが話せる英語は決まって”Hello” “How are you?” “What is your name?”
とにかく「話したい」だけなので、私が答えても聞いていない。
そんなやり取りを何十回もした。でも彼らといると自然と笑顔になれるんだよね。不思議だ。

ちなみにトルコ警察もうろうろしている。
私を見て「日本人か?何しにきたんだ?」と聞いてきた。観光だ、というと怪しげな目で”Tamam(OK)”と。

夜は特に警察が多い。トルコ軍の航空機もたびたび頭上を通る。ここはイラク、シリアの国境と近いため、これらの国から山を登って違法入国してくる人がいないか見張っているのだそう。

翌日はまず病院へ。
腹痛と下痢が治まらないため・・。たまたまMedyaの友達がお医者さんで、タダで診てもらえることに。やっぱり「胃腸炎だ」と言われ、薬もらって飲んだら少しは回復^^

でもまだ食べ物は口に入らず・・。水に塩と砂糖とレモン汁を混ぜたものをずっと飲んでいました・・。


午後はShirnakから少し外れた村へ。
本当にここに人が住んでいるのかと疑ってしまうような、ぼろぼろの家もちらほら見かける。そしてここでもまた子供たちが集まってくる。

牛や馬、鶏にヤギなどの動物もその辺うろうろ。牛糞や馬糞がそこら中に。


学校に行けない子供たちもたくさんいる。
そんな子供たちがやがて都会に出て万引きや強盗などの罪を犯すようになる、とよくトルコ人の友達は言っていた。
でも背景はもっと複雑だ。以前トルコ政府がクルド人の住む村を攻撃し、多くの村人が犠牲になった。お金や仕事など、生活を奪われた彼らはやがて都市に出て、罪を犯すようになったと。一概に「クルド人は犯罪者だ」なんて言うべきじゃないなあ。

アンカラやイスタンブールの友達からたびたび「今どこにいるの?」と連絡が来たので「今Shirnakにいるよ」と言うと決まってみんな「クルド人は危険だから気をつけて」「何でそんな危ない場所にいるんだ、早くこっちにおいで」と言ってくる。

トルコ人の多くは本当に、何も知らないんだなあと。毎日のようにテレビで報道されるトルコ東部でのPKKとトルコ兵の銃撃戦やテロ。「危険」というイメージのみが彼らの頭に根付いてしまっている。こっちにきて現実を見てほしい。

「クルディスタン」という国を持つべきだと思うか、と何人かのクルド人に聞いてみたら色んな意見を聞けた。
「クルド人の中でも、イラク系クルド人、トルコ系クルド人、シリア系クルド人、イラン系クルド人など分かれていて、彼らの間でもまた対立している。その対立関係がなくなれば、クルディスタンという国を持ってもいいと思う」そう言っていたのはホストのMedya

「クルディスタンなんて国はいらない。トルコで十分だ。今僕は大学で勉強していて、親はいい仕事を持っている。何一つ不自由などない。これ以上何も求めるものなどないよ」とEmrah。もしクルディスタンという国が成立したら、彼はきっとトルコに逃げるだろう。

もしトルコから分離したら、一体どれくらいの人がクルディスタンに残るのだろうか。PKKがまともに政治を行えるように私は思えない。

そんなことを考えていたらまた激しい腹痛に襲われたのでこの日は夕方すぎにベッドへ。
何とか頑張って欲しいもんだ、私のお腹・・。

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