2012年8月17日

Mt. Damavand 三日目


17日、夜中3 時起床。周りにもちらほら登る支度をしている人がいる。ダウンジャケットを来て、ヘッドライトを着け、3時半出発。

星がめちゃくちゃ綺麗だった。こんなに星ってあったんだってくらい。
今まで見たどの星空よりも綺麗だ。

自分のヘッドライトだけが頼りだ。慎重に道を選びながらゆっくりと進む。
他にも頂上を目指している団体がたくさんいて、「一人なの!一緒に来る?」とたくさんの人が誘ってくれた。

あまり団体で登るのは好きでないので、私は後ろからついていくことに。
風が強くて息が苦しくなった。
そんな中、大声で歌をうたいながら登るおじさんたちがたくさんいる。全く理解できない。むしろ聞いている私が苦しくなってくる。


500mほど登ったところで休憩。頭痛はなかったが、息は切れていた。
水を飲み、息を整える。そしてまたみんなと励まし合いながら、ゆっくりと進む。

途中から岩場に差し掛かる。このときなぜか分からないが「線路は続くよどこまでも」が頭の中でずっと流れていた。線路はないが登山道はひたすら続く。
どうでもいいけど、こういうときってセンスのない歌が頭の中オンパレードするんだよね。厄介だ。

5200mを過ぎたころ、胸に圧迫感を感じるようになった。深呼吸をして落ち着かせる。朝焼けがすごく綺麗だった。


高山病にかかり諦めて引き返す人も周りにちらほらいた。無茶は禁物だ。
キャンプに戻っていく人はみな苦しそうだったが”Insha Allah”If the God hopes/wants)と声を掛けていってくれた。このとき何を考えていたのか全く記憶にないが、足だけはひたすら前に進んでいた。

あと、Khastanabashid
これは私の解釈だが、日本で言う「お疲れ様」「ご苦労様」と同じだと思う。使うタイミングがお疲れ様と一緒だし、意味を聞くと「疲れないでねみたいな意味だよ」と言っていた。
お疲れ様は英語にもないし、なんだか親近感が湧くなあ。

だんだんと休憩の頻度が高くなった。
苦しいと感じてはいなかったが、何度も足を止め息を整えた。
辺りはもう明るくなっていたのでヘッドライトは消したが、風は冷たくジャケットなしではいられない。このときの気温はマイナス5度。


気付くともう9 時近くなっていた。5時間も登っていたんだ。

標高5400mを過ぎる。頂上からのガスでだんだん視界が悪くなる。少し歩いただけで息が切れ、足取りもだんだん重くなっていた。相変わらず胸に圧迫感は残る。50mほど進んだところで激しい頭痛に襲われた。堪え難い痛みだ。
一歩前に踏み出すだけで頭に響く。あらかじめ頭痛薬を飲んでいたが、もう効き目がきれていたのだろうか。

前に進みたい、でも足が進まなかった。
意識も朦朧としてきて、まっすぐ立っていられない。
頭の痛み、胸の圧迫感、呼吸のつらさ、それに加えて吐き気も出てきた。頂上まであと200m。もう目の前に見えている。どうしても行きたい。

5分ほどそこでストックを支えにして立ち止まり、考えた。
何度も頂上を見上げては下を向き、の繰り返し。どうしても頂上に行きたい。一歩足を出してみる。でも次の一歩が来ない。もう限界だと思った。

回れ右をして下った。悔しくて涙があふれてくる。泣くとさらに苦しくなるのに、涙が止まらない。
今こうして書いている間も、悔しくて涙が出そうになる。

自分を思い切り殴りたくなる。本当は行けたんじゃないかとさえ思う。
でも自分で無理だと判断したのだから、相当きつかったのだろう。

下山途中もまだ頭痛は続いていた。毎回どの山を登っても思うことだが、下山しているときに初めて自分の歩いた道のりの長さに気付かされる。そして下山の道のりはとにかく長い。荷物の重さも肩にくるようになる。登っている時は目標があるが、下山はただ戻るだけで本当につまらない。

2.5時間ほどでキャンプに到着。
皆に「どうだった?頂上まで行けた?」と聞かれてさらに悔しさが増す。無理だったと言うと、「じゃ明日また挑戦するの?」と。正直それも考えたが、さすがにこれ以上いたら管理人が黙ってないだろうし、ここは踏ん切りをつけてまたの機会に挑戦しようと思った。

荷物をまとめ、12時過ぎ頃下山開始。
ここからがまた長い。途中登山客の団体と何度もすれ違っては挨拶をし、30分おきくらいに休憩しながら下る。砂がさらさらしていて非常に下りづらい。疲れているから余計に足が取られる。膝もガクガクしていた。

途中一人で下っているおじいちゃんがいたので、「テヘランまで行くのなら一緒にタクシーシェアしないか」と聞くとのってくれたので、一緒に下ることに。

少し英語がわかるくらいだったが、ペースも丁度同じくらいで、明るくて優しい人だった。
何度も繰り返すが、とにかく下山がめちゃくちゃ長い。

本当にこんなに登っていたのか、実は道を間違えているんじゃないか、と思ってしまうくらい。足のつま先が痛くなってきた。登り6時間、下山には4時間半かかった。下山ってこんなに時間かかるもんだったっけ?


カントリーロード♪がぴったり合うこの移動。

Gosfand Saraに着き、トラックを捕まえ、後ろの荷台に。かなり揺れて決して快適とは言えないが、風を浴びながら山の中を進むのは気持ちがいい。

Mt. Damavand, Kheili Mamnoon! 必ずまた帰ってくる!

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